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雇用保険の適用拡大について

      2024/03/01

今年の10月1日からは社会保険の適用が、現在の「従業員数101人以上企業」から「従業員数51人以上企業」へと拡大することが決まっています。今後は厚生年金加入対象者も徐々に増えていき、将来受け取れる年金も老齢基礎年金だけでなく、2階建て部分の老齢厚生年金が上乗せで受け取れる人も増えることでしょう。

先日、雇用保険についても、令和10年10月から、現在の「所定労働時間週20時間以上」要件から、「週10時間以上」へと適用拡大する法案が発表されましたね。今年の通常国会で決まる見込みです。

例えば、1日4時間で週4日勤務の「週16時間」で働いている人は、令和10年10月からは、雇用保険加入対象者です。週3日勤務でも「週12時間」なので、1日4時間勤務の人は週2日以下であれば雇用保険の加入要件に満たさない働き方になります。

最低賃金額の全国平均「1,004円」で考えた場合、1日4時間週4日勤務の場合で月額「約70,000円」なら、雇用保険の適用で「420円」徴収され、手取りは「69,580円」(※雇用保険料率:一般6/1000で計算)となりますが、雇用保険適用とならない週2日勤務にすると月額収入は半分に減ることになります。

収入額を維持したまま雇用保険加入をせず就労をするには、副業先を探すしかなさそうです。

雇用保険加入した場合、手取りが減る心配をする人も多いですが、加入した場合は、雇用保険の制度を利用することが可能になります。

一番認知度の高い制度が「失業給付」で、仕事を辞めた際に受けられる制度ですが、「働く意思がある」ことが要件ですので、働く意思のない方は制度を受けることはできません。「失業給付」を受給する場合、前職を自己都合で辞めた人は、7日間の待期期間に2ヶ月又は3ヶ月の給付制限がかかります。この給付制限期間について、短縮する案も出ています。

雇用保険の制度には「失業給付」以外にも、「育児休業給付金」や「介護休業給付金」、「高年齢雇用継続給付」等、いろいろな制度がありますが、多くの人が使える制度として「教育訓練給付」があります。

国を挙げて「リスキリング(新たな知識の習得)」が注目されていることも影響しているのか、この「教育訓練給付」の支給対象となる教育訓練等を受けた場合に、「失業給付」受給時の給付制限期間を短縮するという案です。

しかしながら、海外では自己都合退職者には給付をしない事例や、日本同様に給付制限を設けている事例も多く、支給制限期間を短縮することで、受給目的の安易な退職を増やしてしまうのでは等の懸念事項も残っており、今後まだまだ議論が続きそうです。

対象となる教育訓練についても今後発表されるようですが、AIやプログラミングに関する知識が、もう少しハードルを下げた学習からスタートできる訓練が増えることを私は期待しています。

生成AIの出現で、AIに仕事を奪われると心配する人がまだ日本では多いですが、これからはAIを活用することで、生産年齢人口減に対応することを考えていく必要があります。AIは与えられた情報からあらゆることを学び、チャットGPTのように、人間が回答するかのような返答をしますが、間違った情報を与えた場合には、間違った情報での返答をしてしまいます。

生成AIが作るものを精査するのはやはり人間であり、アウトプットを鵜吞みにせず人間自身が考えなければならないことを知っておく必要があります。そういった基礎的な知識から学べる教育訓練が増えると、生成AIとの共存も受け入れやすくなるのではないかと思うのです。

社会保険、雇用保険の適用拡大で保険料徴収を避けるのではなく、自己実現のために制度を存分に利用することをぜひご検討下さい。

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