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月60時間を超える時間外労働の割増賃金引き上げについて

      2023/04/03

長時間労働の抑制の為、近年様々な働き方改革関連法が改定施行されてきました。労働者が健康を保持しながら、労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう、令和5年4月以降は、1か月に60時間を超える法定時間外労働について、中小企業も法定割増賃金率が5割以上に引き上げられます。本日は、実務において注意が必要なケースをご紹介いたします。

 

基本給とは別に固定残業代を定額支給している場合

時間外労働が60時間を超えたら割増率が変わりますので、60時間を超える時間相当額を支給している場合、未払いとならないように注意が必要です。

また、特別条項付きの時間外労働休日労働に関する協定(36協定)を締結していても、1年に6回までしか限度時間である月45時間(1年変形は42時間)を超えることができません。固定残業代が限度時間相当を超えて支給されている場合、それ自体が違法とはされませんが、限度時間を超える月が6回以内になるように、管理をお願いします。

 

法定休日の割り増しについて

月60時間超の時間外労働の割増率は50%となり、休日労働の割増率35%よりも多くなりました。これからは、あまり命じてこなかった休日労働で対応できないか検討する企業もあるかと思います。

法定休日は1週間に1日または4週間に4日以上とされています。就業規則に休日に関する事項を定める必要がありますが、具体的な日数や曜日などを特定する必要は必ずしもないとされています。しかし、法定休日が定まっていなければ、時間外労働の割増の算定に非常に苦労することが予想されます。

法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となります。また、4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となります。(計算が煩雑となります)

 

法定休日が特定されていれば、割増賃金計算の際には特定された休日を法定休日として取り扱い、月60時間の算定に含めないこととして差し支えないとされていますので、法定休日を明確に決められることをお勧めいたします。

 

参考資料

改正労働基準法に係る質疑応答(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1k.pdf

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

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