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生活習慣病の予防について学んだこと

   

今年は「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)」の申請受付期限が11月1日でした。健康宣言をされている会社の健康経営担当者の方も、調査票の入力漏れがないか、何度も確認されたことと思います。電子化となり調査票のExcelファイルのアップロードのみで『認定申請書兼誓約書』の別送もなく、申請自体は楽になりましたね。

当社も「スモールチェンジ」を忘れることなく、焦らず少しずつ、健康経営を実施しています。今年度の初めに、協会けんぽ愛知支部に申し込んでいた「保健師・栄養士による健康診断結果の見方」が、先月ようやく実施されました。当社の定期健康診断の時期が秋ということもあり、ちょうどいいタイミングで来ていただきました。

定期健康診断が終わった後は、マークが付いた数値については漠然と気を付けなければ…と思うだけで、実際に何をどうするかまでの実行に移すということは、多くの皆さんも難しいと感じていらっしゃるのではないでしょうか。

『要再検査』、『要精密検査』判定や、特定保健指導の対象ともなれば、検査や指導を受ける機会もありますが、『経過観察』判定だった場合、一年後にまた同じ項目にマークが付いていて『経過観察』判定、そしてさらに一年…という無限とも思えるループに共感して下さる方もきっと多いことでしょう。

私もこれまで、数社で定期健康診断は受けてきましたが、今回のような「定期健康診断結果の見方」の説明を受ける機会は初めてでしたので、とても勉強になりました。

まず「診断結果の中の『経過観察』について、どのような認識をされていますか」と問われ、私の認識が間違っていたことに衝撃を受けました。私の認識は「一年後の健康診断までこれまでどおりの生活を送り、様子をみましょう」でした。

正しくは、「何かしらの生活習慣の改善努力をしつつ、経過をみてください」です。数値が基準内であれば、そもそも『正常』判定であるべきところ、『経過観察』判定と出たのは「何かあるかも」と思うべきということです。

今回は“血圧”、“血糖値” 、“脂質”を中心に教えていただきました。内臓脂肪の蓄積判定である腹囲と合わせて判断される、メタボリックシンドローム判定の該当項目です。運動量や基礎代謝が低下し始めた40歳からは、漏れなく「特定健康診査」が付いてきます。特定保健指導の対象にならなかったと、数値ギリギリで安心するのではなく、“高血圧”、“高血糖” 、“脂質異常”についての知識は重要だと思いました。

“高血圧”は主に食塩の過剰摂取が原因とされています。肥満によっても高くなると言われているのは、体重が増えると体液量が増えるために血圧が上がるためで、体重1kgの増加で血圧は1~2mmHg(ミリエイチジー)上昇すると言われています。対策としては、1日の食塩を6g未満とする、アルコールを控える、野菜や果物を積極的に摂ることです。有酸素運動も有効なので、毎日30分以上を目標に定期的に行うことも対策のひとつです。

血液中のブドウ糖濃度である“血糖値”は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの調節で正常値が保たれています。このインスリンのはたらきがうまくいかなくなると、血糖値が上昇したまま=“高血糖”となり、“高血糖”が続くことで膵臓に負担がかかり、インスリンの分泌低下や作用低下が起こります。尿の中にブドウ糖が排出されることで“尿糖”ともなります。対策としては、1日3食規則正しく食べる、ゆっくりよく噛んで食べる、ラーメンライスなどの主食の重ね食べはしない、糖分の多い飲料は体に吸収されやすいので控えるなど、とにかく糖の摂取を控えることと血糖の上昇を緩やかにする食べ方について教わりました。

例えば、飲むヨーグルトは飲みやすいですが、“腸のはたらきをよくするために飲む”のか、“血糖値の正常化を目指すために飲まない”のか、目的によって摂取の判断をして下さいとのことでした。

最後は“脂質異常”について。中性脂肪、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールの3つは、皆さんも健診結果では気になる数値ではないでしょうか。バランスが崩れることで動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の発症原因に繋がると言われています。油のエネルギーが高いことは、皆さんもご存じのとおりで、対策としては、エネルギーの過剰摂取に注意する、酸化した脂を摂らない、運動不足を解消するなど、異常数値の原因を取り除くことが大事です。

寝る3時間前までには夕食を済ませることや、揚げ物中心の食事をしないことはよく言われていますし、動物性脂肪である「飽和脂肪酸」よりも植物や魚に多く含まれる「不飽和脂肪酸」の方が体にいいことや、酸化した脂が体によくないことは知っていましたが、“トランス脂肪酸”については、改めて認識させられました。“トランス脂肪酸”とは、マーガリンやショートニングのことですが、「飽和脂肪酸」よりも強力にLDLコレステロール値を上げるとのことでした。“小倉&ネオマーガリン”愛好家の多い愛知県民には、少々耳の痛い話ですね。

中性脂肪の高値は、脂ではなくエネルギーの摂りすぎ、いわゆる余っている状態のことで、中性脂肪が増えることで資質の代謝異常が起こり、LDLコレステロールが増加し、血液がドロドロになると言われるものです。

“高血圧”、“高血糖” 、“脂質異常”対策としては共に、食事のバランスと、適度な有酸素運動です。極端に糖質や脂質を制限するのではなく、食べ過ぎと偏食をなくすことが大事とのことでした。野菜は積極的に摂るべきですが、野菜ジュースではなく、形ある野菜を摂ることを勧められました。

健康経営担当者や、人事・総務で健康診断のとりまとめを担当されている方は、医師ではないので診断をすることはできず、あくまでも今回のような知識を従業員に伝授するに留まります。しかしながら、健康についての説明やセミナーへの参加は、健康経営にも大いに活かせるものです。ぜひ皆さんも、協会けんぽや健康保険組合が開く説明会やセミナーをご活用下さい。

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