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ご自身の”労働条件”を確認していますか

   

年始に「今年は祝日が土曜日に重なる日が4日あり、年間休日が少ない年だ」と報道されていました。今月がそのうちの1日かとカレンダーを見て思うと同時に、今年に入ってもう1ヶ月経ったのかと、時間の流れのはやさに驚いています。こんな調子で歳は取りたくないものです。

さて、皆さんはご自身の今現在の職場での『雇用契約書』をお持ちですか。記載されている内容どおりに仕事をされていますか。恥ずかしながら私は、初めて就職した際に、この『雇用契約書』を交わした記憶がありません。もちろんきちんと交わしたはすですが、社会に出ることに精一杯で”労働条件”なんてことは全く頭にありませんでした。

ただ、自分の配属先がどこで、何時から何時まで働き、お昼休みはこの時間。休みはカレンダーで確認し、給料日は○○日で、毎月決められた日に出勤簿を本社に提出する。と言う、それまでの学生生活の決まりごとと同じレベルでしか考えていませんでした。実家からの通いでしたし、給料なんて世間並みにもらえればいいと思っていましたから、おめでたいものです。

でも、結婚し、子供を育てながら働くことを決めたときには、この”労働条件”はかなり真剣に考えましたよ。生活が変わるとこうも考え方も変わるのかと、自分でも驚きました。給料もさることながら、やはり労働時間は、子供を迎えに行く時間に関係するので、とても重要でした。

労働基準法第15条で規定されている「労働条件の明示」では、労働契約の締結の際、使用者が労働者に対して明示しなければならない労働条件を掲げています。

中でも必ず明示しなければならないものとして、労働基準法施行規則第5条では、

1.労働契約の期間に関する事項

2.期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

3.就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

4.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

5.賃金(退職手当及び労働基準法施行規則第5条第5号に規定する賃金を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

6.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

の6つの事項が掲げられています。

このうち1.~5.まで(昇給に関する事項を除く)が書面による交付によって明示しなければならないもの。つまり『雇用契約書』に記載しなければならない事項です。

この施行規則第5条は、平成24年に一部改正され、「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」が追加されました。これまでに有期労働契約を採用されていなかった会社さまでも、定年後再雇用制度の導入をきっかけに、有期労働契約を結ばれたところもあるのではないでしょうか。

労働者一人一人に対して、適用される部分を明らかにした就業規則を交付すれば、再度同じ事項について書面を交付して明示する必要はないとも言われますが、実務的にも個別の『雇用契約書』を作成された方が、明快です。

最近は、労働問題に関する報道も多く、新卒の若い人達も知識があり、素晴らしいと感心させられます。ただ法律用語は分かりづらいものもあるので、明示の際には誤解を招かないためにも、分かりやすい文言にすることも求められます。

また、第二種計画認定を受けられた会社さまにおいては、定年後引き続いて雇用される期間が、有期雇用特別措置法による「無期転換申込権」が発生しない期間であることの明示もお忘れないよう、ご確認ください。

使用者と労働者双方が、気持ちよく働くためにも「労働条件の明示」はとても重要なものですね。

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