労務相談、管理者研修、未払い残業代請求対策なら労務管理センター

無期転換ルールについて2

   

12月に入り急に慌しくなってまいりましたが、バタバタとしてミスをしていては、その分時間が掛かるだけですし、車の運転もいつもより慎重にと、何をするにもまず一呼吸おいて取り掛かるように努めている今日この頃です。さて、先週も鬼頭が投稿しましたが、平成25年4月1日に施行された「無期転換ルール」について、私も今現在勉強してきたことを投稿したいと思います。

「無期転換ルール」が施行されて、もうすぐ4年が経過しますね。当時は前職で、半年毎の更新の有期契約で働いていたため、この施行は私にとって、興味を引くものでした。すでに5年半勤務していたので、これから5年後と考えたときには、気が遠くなったものです。

いろいろなご縁もあって当社に入り、勉強させてもらう中で、この「無期転換ルール」で私が思い違いをしていたのは、「無期転換申込権」の行使によって成立する無期労働契約の条件は、原則として有期労働契約の条件と同一の労働条件という点です。「無期契約=正社員契約」ではないのですね。

残念ながら今現在、私の周りの有期契約労働者の中で、この「無期転換ルール」について知っている人はあまり居ません。しかしながら、5年経過した平成30年4月1日以降には、「あの人が申込んだのなら私も・・・」と、一気にこの話題が広がると予想されるので、受入側である会社は、今からしっかりと準備を進めておかねばなりません。

平成30年ならまだ1年以上あると思いがちなこの「無期転換ルール」ですが、実は一番早い方では、すでに申込権が発生しています。

「無期転換申込権」が発生する要件には、

1.有期労働契約の通算期間が5年を超えていること
2.契約の更新回数が1回以上であること、または、連続して締結されていること
3.現時点で同一の使用者との間で契約していること

の3つがあります。

多くの会社さまが結ばれている有期労働契約は、1年ではないでしょうか。この場合、「無期転換申込権」が発生するのは、6回目の有期労働契約期間中になります。

例えば、施行された平成25年4月1日に有期労働契約を結び、途切れることなく1年毎の契約更新を行った場合、5回目の有期労働契約の満了は平成30年3月31日までとなります。要件1.の「5年を超えていること」のとおり、「無期転換申込権」が発生するのは平成30年4月1日。つまり、6回目の有期労働契約期間中となるわけです。

しかしながら有期契約労働者が、この6回目の契約期間満了の平成31年3月31日までに「無期転換申込権」を行使しなかった場合は、平成31年4月1日からの7回目の有期労働契約が新たに締結されるにとどまり、無期契約に転換できるのは次の平成32年4月1日となります。もちろんその間、「無期転換申込権」を行使しなければ、有期労働契約が続くだけです。

このように「無期転換ルール」は、有期契約労働者自らが申込まなければ、無期労働契約に転換されないものです。

先ほど、一番早い方ではすでに申込権が発生していると述べたのは、3年毎の契約更新の場合です。同じく平成25年4月1日に有期労働契約を結び、途切れることなく2回目の平成28年4月1日からの有期労働契約を更新されている場合、この2回目の有期労働契約の満了は平成31年3月31日であり、通算契約期間は6年となります。

労働契約法18条1項では「・・・5年を超える労働者・・・」と定めており「5年を超えた労働者」ではないことに注意が必要です。つまり、この2回目の契約は、すでに5年を超える契約となるため、この間に有期契約労働者が「無期転換申込権」を行使すれば、平成31年4月1日からは、無期契約労働者となるわけです。

この「無期転換ルール」は、一見簡単なルールのようにも思えますが、突き詰めていくと「無期転換申込権の行使は、口頭でよいのか、書面にするのか」、「口頭ならば誰に伝えるのか」、「書面ならば申込んだ日付をどう証明するのか」の申込みの手段に始まり、「就業規則は有期社員のものがそのまま適用されるのか、正社員のものが適用されるのか」などなど、意外と奥深いものです。

また、今後どのような人材活用を考えるのかにもより、各会社さまそれぞれで取られるべき対応は違うと思われます。この機会に正社員転換も視野に入れられるのであれば、助成金の活用も考えられます。私自身、まだまだ勉強中ではありますが、「無期転換ルール」への準備には、さまざまな方向からの検討が必要ですので、早めに取り掛かられることをお勧めします。

 -