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年金にまつわる改正点

      2025/02/04

公的年金については少なくとも5年に一度、財政検証が行われており、2024年はその年に該当します。

新聞やニュースで年金に関する記事がありましたので、いくつかご紹介します。

(厚生労働省や諮問機関からの提言ですので、正式な決定ではありません。今後、国会等で議論され、正式判断されます。)

 

  • 51人以上の規模要件の緩和と撤廃

現在、従業員51人以上の企業等については特定適用事業所として、2ヶ月以上の雇用が見込まれる者で、週20時間以上勤務し、所定内賃金8万8,000円以上ある場合(学生は除く)は、厚生年金保険の加入が義務付けられています。

この従業員数の要件が、

2027年10月  36人以上

2029年10月  21人以上

2032年10月  11人以上

2035年10月  人数要件撤廃

とする案が厚生労働省より示されました。今後、議論が行われ、正確な日程が示されます。

なお、所定内賃金8万8,000円(いわゆる106万円の壁)についても、今後3年以内に廃止されるとのことです。

現在、各都道府県の最低賃金額で週20時間以上勤務する場合、ほとんどの地域で月8万8,000円を超えることが見込まれるため、8万8,000円の廃止はそれほど影響がないものと言えます。

 

  • 在職老齢年金の上限額の変更

働く高齢者については在職老齢年金という制度において、給与と厚生年金の合計額が月50万円を超えると超過分の半分の年金額が支給停止されます。

働く高齢者の就労意欲が低下しないように、2026年4月からは上限額が月62万円となる予定です。

 

  • 標準報酬月額の上限の変更

現在の厚生年金保険料の上限額は、65万円(32等級)になっていますが、2027年9月より上限額が75万円となる予定です。

上限額に達している高所得者の人数が多くなったことが背景にあり、引き上げることにより最大で月の厚生年金保険料が約1万8,000円上がることになります。

保険料に関しては労使折半のため、従業員と企業にて約9,000円ずつ負担することになります。

 

  • 年収の壁 「2年連続130万円以上」扶養の暫定措置を恒久化 厚労省検討

被扶養者になっていた配偶者や子などが、年収130万円(60歳以上や一定の障害者は180万円)以上見込まれる場合は被扶養者になることはできません。

しかし、2023年9月に政策パッケージが公表され、就労先の人手不足等により一時的に労働時間が増え、年収130万円を超えてしまった場合でも、一時的である旨を事業主が証明する事により連続2回(2年)までは扶養に入り続けられる仕組みを創設しました。

この仕組みを恒久化するとのことで、今後詳細な制度設計に入りますが、まだ検討段階で確定した情報ではありません。

また、「人手不足等により一時的に就労時間が増え、・・・」とあるため、被扶養者が就労先で雇用契約の内容自体が変わり、人手不足等の影響ない通常の勤務で年収130万円以上が見込まれる場合は、この制度は使えないこととなります。

 

年金については、受給額だけでなく、保険料の上限額の変更など給与計算に影響してくることやパートやアルバイトが多い企業は経営にも影響してくるため、早めの情報共有と従業員への説明が必要になります。

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